《検証》
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事故の概要
Aさん(21歳)は、カーブが連続した山岳道路を走行中に、急カーブに進入したところ、速度を出し過ぎていたため、カーブを曲がりきれずカードロープに衝突した。Aさんは、仲間数台とこの山岳道路にローリング走行に来ていて、そのときに発生した事故であった。
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事故の原因
Aさんが速度を出し過ぎていたことが、事故の原因である。Aさんが、カーブに進入したときの速度は時速約80kmであったという。事故発生場所の規制速度は時速30kmであったから、Aさんは、規制速度を時速50kmも上回る速度で走行していたことになる。カーブは、半径28mの曲率の急カーブであり、時速80kmでは、到底曲がりきれるカーブではなかったと考えられる。
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この事故から学ぶこと
ローリング走行をする若者は、車に詳しく車の運転にも慣れていることから、危険を避けるために自分流の基準を持っているようである。しかし、その基準は極めて自己流で矛盾が多い。 Aさんは4点式のシートベルトを車に装着しており、ある意味では、事故に遭ったときの安全に関して問題意識を持っていたといえる。しかし、Aさんは、素足で運転しており、これが原因で足に重傷を負っている。4点式ベルトをしていたことと素足で運転していたことは明らかに矛盾した行動である。また、速度を出し過ぎるという行為は、無謀な行動であることはいうまでもない。若者は、自分の認識や行動の矛盾になかなか気づかないようである。 ローリング走行中に起きる事故の中には、高速走行中の事故が多いことから、死亡事故につながることも多い。ローリング走行を行う若者に、彼らの認識や行動の矛盾を理解させたいものである。 |
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事故の概要
Aさんは、青信号で十字交差点に進入したところ、交差道路を進行して来たBさんの軽自動車と出合頭に衝突した。Aさんの乗用車は、衝突の衝撃で回転し、路側の電柱に衝突した後に道路中央付近に停止した。Aさんの乗用車の後部座席には、2歳の幼児がチャイルドシートを着用して乗車していた。この幼児は頭にケガをしたが軽傷であった。また、シートベルトを着用していたAさんも軽傷であった。
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事故の原因
Bさんが、赤信号であるにもかかわらず、交差点に進入したことが、事故の原因であると考えられる。 Aさんの乗用車は、Bさんの軽自動車と衝突したときに車体の後部右側を、電柱と衝突したときに車体の後部左側を損傷し、車体の後部は大破した。後部座席に乗車していた幼児が軽いケガですんだのは、チャイルドシートを着用していたからだと考えられる。
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この事故から学ぶこと
少し前までは、小さな子どもの交通事故は、歩行中の事故が多かったが、最近では自動車乗車中に事故に遭う幼児が多くなっている。自動車乗車中の幼児の死傷者は、最近5年間で3,000人以上も増加している。小さな子どもの命を守るためにはチャイルドシートの着用が必要なのはこの事例からも明らかである。なお、チャイルドシートは、正しい方法で使用される必要がある。チャイルドシートの85%以上が、正しく使われていなかったとの報告が日本と米国の両方のレポートにある。正しく使用しないと、事故のときに十分な効果が得られないのはいうまでもない。 |
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事故の概要
70代後半のAさんは、買い物に行くために、片側1車線道路を自転車に乗って進行していた。店に行くには、道路の反対側に渡る必要があったので、どこで道路を渡ろうか、思案しながら走行していたが、ふと思い立って後方を確認しないまま、道路を斜めに横断し始めた。ちょうどそのとき、Bさんの運転する軽自動車がAさんを追い越そうとしていたため、Aさんの自転車とBさんの軽自動車は衝突してしまった。Bさんは、Aさんの自転車に、かなり手前から気づいていたが、Aさんが突然横断するとは予測せず、側方間隔をあければ、追い越せると判断していたという。
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事故の原因
Aさんが、後方を確認しないで、道路を斜めに横断したことが事故の原因であるといえる。Aさんの自転車を安全に追い越せるだろうと判断したBさんにも油断があったといえる。
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この事故から学ぶこと
自転車乗用中に交通事故に遭って死亡する高齢者は、交通事故で死亡する高齢者の約18%を占めている(全年齢では約11%)。高齢者の自転車事故の事故例をみると、一時停止の無視や見落としによる出合頭事故と並んで、斜め横断による事故が多く目につく。安全確認を行わなかったり、交通法規を守らないことが原因で、事故に遭っている高齢者が少なくないようである。事故に遭った高齢者の大部分は、自宅の近くで事故に遭っている。自分がよく利用する経路については、安全確認をすべき場所を整理しておく必要があると考えられる。 |
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事故の概要
平日の午前中、Aさんは乗用車を運転して、交通量の多い大きな交差点を右折しようとしていた。Aさんは、対向して来る大型バスと横断歩道上にいる歩行者に注意を払いながら右折したが、横断歩道を渡ろうとしていたBさんの自転車には気がつかなかった。Aさんの乗用車が、横断歩道に差しかかったときに、Bさんの自転車がすぐ近くまで接近しているのを認知したが、自転車に気づいたのとほとんど同時に衝突した。
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事故の原因
Aさんが、右折する先の横断歩道上とその周辺を十分に注意しなかったことがこの事故の原因である。また、Bさんは、Aさんの乗用車を認知していたが、止まってくれるだろうと考えていた。Bさんの判断にも油断があったと考えられる。
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この事故から学ぶこと
右折をしようとしている運転者にとって、自分と同じ方向に走っている自転車は、視野の外から自転車が飛び込んでくる感じになるので認知しにくく、右折中にかなり首を回して確認しないと発見できない。自転車が速度を出している場合は、なおさら発見しにくくなる。とくにこの事故例のように、交通量の多い大きな交差点を右折する場合、運転者は、対向車や横断歩道上の歩行者等、多くの対象に一度に注意を向ける必要があるので、よけいに自転車を見落としやすくなるといえる。右折するときは、視線の移動だけではなく、首を回して安全を十分に確認したい。 また、自転車で交差点を直進しようとする際には、進行方向の信号が青であることに安心せず、右左折して来る車に十分注意したい。相手が自分のことを認知していて、止まってくれると安易に考えるのも危険である。 |
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事故の概要
平日の夜間、運転手のAさんは、大型貨物車を運転して高速道路を走行していた。トンネルに進入したとき、前方に渋滞のため車が停止しているのに気がついた。Aさんは、急ブレーキとハンドルを切って回避しようとしたが、間に合いそうもなかった。貨物車はトンネルの右側の壁に衝突した後、渋滞の車列の最後尾にいたBさんの乗用車に衝突した。Bさんの車は押し出されて、停車していた3台の大型貨物車に衝突する多重事故となった。衝突の衝撃で火災が発生した。この事故により乗用車に乗っていたBさんが死亡した。
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事故の原因
Aさんが、前方を十分に注意していなかったことがこの事故の原因である。Aさんはぼんやりしていて渋滞の車列に気づくのが遅れたという。事故の直前に脇見をしていたとか、疲労していたなどのことはなかったという。なお、現場は4%の下り勾配であった。
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この事故から学ぶこと
高速道路において発生する事故のうち、追突事故が65%を占め最も多い。追突の原因は、ぼんやりしていた、雨でスリップした、ラジオを操作していたなどさまざまである。追突事故の中には、この事例のように多重事故となったり、車両火災が発生する場合も少なくない。とくにトンネル内でこのような事故が発生すると、消火作業がしにくいこともあって被害が大きくなりやすい。この事故例でも消火に2時間近くかかっている。高速道路は安全で快適な道路であるが、少しの気のゆるみが重大事故につながることもある。油断しないで運転したい。 |
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