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交通事故事例 事故は何故起こったか

《検証》

 

右直事故の過失について

事故の概要
 平日の朝、Aさんは、普通トラックを運転して片側2車線道路を走行していた。Aさんは、交差点を右折するために右折レーンに入ったが、交通量が多く、なかなか右折できなかった。この交差点には右折車のために矢印信号があり、間もなく、この矢印信号が青に変わった。このとき、対向車線を二輪車が走ってくるのが見えたが、Aさんは、直進車の信号は赤のはずなので二輪車は止まると考え、右折を開始した。ところが、この二輪車は停止せず、交差点に進入してきた。Aさんは二輪車を避けることができず、2台は衝突した。


事故の原因

 すでに信号が赤に変わっていたにもかかわらず、交差点に進入した二輪車の信号無視が事故の原因である。この道路は、最高速度が時速50qに規制されていたが、この二輪車は時速約70qで交差点に進入しており、速度が高かったことも、二輪車が無理に進入した原因となったと考えられる。


この事故から学ぶこと

 右直事故では、右折車の過失が大きいと一般的には思われているようだ。しかし、それは、直進車の信号が青の場合であって、信号の変わり目や、矢印信号が出ていた場合は、この限りでない。示談交渉や民事裁判で使われる過失相殺の考え方により例示すると、双方の信号が青の場合は、8:2で右折車が悪いとされるが、黄色で進入した直進車が、すでに交差点内にいた右折車と衝突した場合は3:7、赤信号で進入した直進車が、青い矢印信号で右折した車に衝突した場合は、0:10で直進車の過失のほうが大きいとされている(四輪車どうしの事故の場合)。右直事故では、右折車が無理に右折して事故になる例がある一方で、直進車が信号の変わり目で無理に直進して事故になる例も多い。事故を起こさないためには、信号に従って通行することが重要であることを忘れてはならない。

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初心運転者の速度超過による事故

事故の概要
 大学生のAさんは、休日の深夜に友人を助手席に乗せてドライブに出かけ、明け方近くに帰宅する途中であった。Aさんは、片側1車線の道路を時速約70qで走行し、左カーブに接近した。Aさんは、このくらいの速度なら十分に曲がり切れると思ってカーブに進入したところ、対向車が現れた。この対向車は、普通に対向車線を走行していたのだが、Aさんは対向車の出現に動揺した。動揺したAさんが、とっさにハンドルを左に切り足したところ、Aさんの乗用車は左を向いて横滑りをはじめた。Aさんは横滑りを止めることができず、乗用車は道路外の構造物に衝突して停止した。


事故の原因

 対向車の出現に動揺したAさんが、不適切なハンドル操作を行ったことが、事故の直接の原因であるが、乗用車の速度が高かったために、乗用車は横滑りしたと考えられる。したがって、Aさんが速度を出し過ぎていたことが事故の原因と考えられる。事故のあった道路の規制速度は、時速40qであった。Aさんは、3か月前に免許を取得したばかりであった。


この事故から学ぶこと

 初心運転者による事故は、夜間の事故、速度超過による事故、単独事故などが多いのが特徴である。初心運転者の事故は運転技術の未熟が原因で発生すると、よく言われるが、これは正確な説明でないのかもしれない。より詳しく言うと、初心運転者は、法規を守って運転していれば、事故を起こさないだけの技術は持っているのだが、わざわざ危険な運転をする傾向や、判断や見通しが甘い傾向があるために、こうした事故を起こしやすいのだと考えられる。初心運転者の考え方や行動の誤りを、理屈で理解させることも、初心運転者に対する大切な教育方法だと考えられる。

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運転中の急病による事故

事故の概要
 平日の午前中、Aさんは釣りに行くために原付を運転し、片側2車線道路を通行していた。Aさんは、信号機のある交差点を青信号で直進したが、交差点の先に停車していた乗用車の後部に追突し、転倒した。


事故の原因

 Aさんが乗っていた原付は、前のカゴが変形した程度で、ほとんど損傷していなかった。原付の損傷の様子から、Aさんが車両に追突した速度は、時速10q程度と考えられた。Aさんの身体の様子を詳しく調べたところ、Aさんは事故直前に、くも膜下出血を起こし、意識障害と呼吸不全が生じた結果、運転が不可能になり、事故に至ったと推定された。


この事故から学ぶこと

 意識障害や意識喪失を及ぼす病気には、くも膜下出血のほかにも、脳血管の血栓による虚血、糖尿病などによる低血糖症状などが知られている。運転中にこれらの症状が急に起きると危険である。事故を起こして自分が死傷するだけでなく、他人を死傷させてしまう場合もある。日ごろの健康管理には十分に注意し、心配な場合は、運転を控えるべきである。とくに、長距離を運転するなど、負担が大きい運転をする前には、注意が必要である。

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急な進路変更による事故

事故の概要
 平日の夕暮れ時、Aさんは、片側2車線道路の走行車線を乗用車で通行していた。信号機のある交差点に近づいたところ、追越し車線に右折待ちの乗用車が停止しており、そのすぐ後ろに、もう1台の乗用車が停止しているのが見えた。この交差点は右折レーンがなかったので、後ろの乗用車は右折待ちの乗用車を避けて交差点を直進しようと、走行車線に車両の一部を乗り入れたところで停止していた。この交差点は左側に余裕があったので、Aさんは、道路の左側に寄れば、あまり速度を落とさずに、前方の乗用車を避けて通過できると考えた。このとき、Aさんの乗用車の左後方をBさんの原付が走行していた。Aさんが左に進路を変更したとき、Aさんの乗用車とBさんの原付は衝突した。


事故の原因

 Aさんが、後方を十分に確認せずに急に進路を変更したことが事故の原因である。Aさんがこのような行動をとったのは、減速したり、停止するのは面倒だという気持ちがあったからだと考えられる。Bさんの原付が乗用車の死角付近を走行していたことに加えて、事故当時は夕暮れ時で、よく見ないと、後方の安全が確認できなかったことも事故の発生に影響したと考えられる。


この事故から学ぶこと

 四輪車の運転者は、進路を変更しようとする場合、ミラーだけでなく目視で、後方の二輪車や自転車の有無を確認する必要がある。後方の二輪車や自転車を見落とした場合にも対処しやすいように、進路変更はゆっくりと行うべきである。また、二輪車の運転者は、四輪車の死角付近に近づくことのないよう、速度を調節するなどして適切な位置を走行すべきである。

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飲酒運転のさまざまな危険性

事故の概要
 日曜日の夜、Aさんは友人4人を乗用車に同乗させ、片側1車線道路を走行していた。Aさんたちは皆で飲食に出かけ、店を出た後に移動する途中であった。Aさんを含めて全員が飲酒をしていた。左カーブにさしかかったとき、Aさんはカーブの曲率の判断を誤り、カーブの途中で急なハンドル操作をしたため、Aさんの乗用車は横滑りし、路外にあった人家の石垣に衝突した。この事故によりAさんは重傷を負い、同乗の4人が死亡した。


事故の原因

 飲酒運転が事故の原因である。加えてAさんは、最高速度が時速40qに規制されていた道路を時速約70qでカーブに進入したと考えられる。また、Aさんを含めてすべての乗員がシートベルトを着用していなかった。


この事故から学ぶこと

 アルコールは、たとえ微量であっても運転に必要な認知や判断に悪影響を及ぼす。酒を飲むと気が大きくなり危険な行動を取りやすくなるなどの人格や行動面での影響や、居眠り運転を生じやすくさせるなどの影響もある。また、アルコールは依存性が高い物質であり、一度、飲酒運転の習慣が身につくと、飲酒運転を自分の意志でやめることが難しくなるという問題もある。
 罰則の対象となるアルコール濃度が引き下げられてから、飲酒に関係した事故は減ったものの、昼間の飲酒事故は減っていないなど、日ごろから飲酒運転をしている運転者は減少していないことを示唆する事故データもある。飲酒運転の習慣化を防ぐために、飲酒運転につながる意識や行動の芽を摘む教育や活動が重要である。

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