《検証》
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事故の概要
RV車で高速道路を走行していたAさんは、考え事をしていたため、自車が左に寄っているのに気づかなかった。Aさんが気づいたときには、道路左側のクッションドラムに衝突する直前であった。RV車は、クッションドラムに衝突した後、ノーズレールに衝突して停止した。RV車の速度は時速約100Kmであったと考えられる。後部座席には、2歳の幼児が、チャイルドシート非着用で乗車していた。この幼児は、頭部に重傷を負った。この幼児は衝突の衝撃で、コンソールボックス(前席の前)に衝突し、このときに傷害を負ったと考えられる。
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事故の原因
Aさんが、考え事をしていて、注意がおろそかになっていたことが事故の原因である。一方、幼児が重傷を負ったのは、この幼児がチャイルドシートをしていなかったためであると考えられる。チャイルドシートを着用していれば、少なくともコンソールボックスに頭をぶつけて頭部に傷害を負うことはなかったと考えられる。
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この事故から学ぶこと
チャイルドシート非着用で死亡した幼児のうち、27%が車外放出、8%がフロントガラスやダッシュボードに体を衝突させている。衝突の衝撃は非常に強く、チャイルドシートをしていないと、幼児の体は遠くに飛ばされてしまう。とくに速度が出ている場合は、危険性が高くなる。 また、この幼児の母親の話によると、自分の車ではなかったのでチャイルドシートは着用していなかったという。他人の車に乗る場合も、チャイルドシートが必要なのは、言うまでもない。 |
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事故の概要
日曜日の深夜、Aさん(25歳、女性)は、友人のBさんを軽自動車の助手席に乗せて、県道を走行していた。緩やかな右カーブにさしかかったときに、運転操作を誤り、道路左側にあった案内標識の柱に衝突した。この事故により、Aさんは重傷を負い、助手席に乗っていたBさんは死亡した。
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事故の原因
Aさんが、運転操作を誤ったことが、この事故の原因である。現場にはスリップ痕がなく、Aさんが急ブレーキを踏んだ形跡はなかった。Aさんの話によると、ブレーキを踏もうとしたが、履いていたブーツがひっかかってブレーキが踏めなかったという。Aさんは、底の厚いブーツを履いて運転していた。
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この事故から学ぶこと
最近、若い女性の間で、底の厚い靴やブーツが流行している。底の厚い靴を使って、ペダル操作や障害物の回避実験を行ったところ、底の厚い靴を履いた場合は、運動靴を履いた場合に比べて反応時間や停止距離が3〜8%長くなることが分かった。交通事故になるかどうかは、紙一重であることも多いので、この差は小さいとは言えない。車を運転するときは、運転操作に適した靴で運転するようにしたい。なお、実験に関する詳しいことは、交通事故総合分析センターホームページ(http://www.itarda.or.jp)、またはジャフメイト(1・2月号)を参照されたい。 |
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事故の概要
日没直後で、まだ明るい時間、高校生のA君は、友人を後ろに乗せて片側2車線以上ある幅員の広い道路を走っていた。交差点を通過したとき、前方に横断中のBさん(71歳)を発見したが、自分が先に通過できるか、あるいは、Bさんが止まって自分を先に通してくれると思い、そのまま進行したところ、Bさんと衝突した。Bさんは、転倒し死亡した。
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事故の原因
A君が、Bさんを発見したときに、速度を落とすなどの措置をとらなかったことが事故の原因である。
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この事故から学ぶこと
自転車の場合、自動車や二輪車と衝突して自転車の乗員が怪我をしたり死亡する事故が圧倒的に多い。しかし、この事例のように自転車が歩行者と衝突し、歩行者を負傷させたり死亡させてしまう事故も発生している。最近4年間だけでも、約2,400件の人身事故(うち死亡事故は14件)が発生している。事故の内容を調べると、中学生あるいは高校生の運転する自転車が、高齢者の歩行者と衝突し、高齢者が死亡する事故が大部分を占めている。中学生や高校生の中には、危険な自転車の乗り方をする者が少なくないが、危険な乗り方をしていると、車に衝突して自分自身が痛い目に遭うだけではなく、ときには人を傷つけることもある。相手を死亡させた場合は、当然、賠償責任が課せられることになる。危険な自転車の乗り方をしていると、死亡事故の加害者になりうることを十分に認識させたい。 |
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事故の概要
Aさんは、大型トラックを運転して、交通量の多い国道を時速約50Kmで通行していた。携帯電話の着信音が鳴り出したため、Aさんは携帯電話を取ろうとして少しの間、脇見をした。そのため、赤信号で停止していた軽自動車に気づくのが遅れた。Aさんのトラックは軽自動車に追突し、軽自動車を前方に数m押し出して停止した。この事故により、Aさん自身には怪我がなかったが、軽自動車を運転していた女性と後部座席に同乗していた子どもが軽傷を負った。
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事故の原因
Aさんが、携帯電話を取ろうとして脇見をしたことが事故の原因である。現場は、やや下り坂の直線道路で見通しもよく、前方を見て普通に運転していれば、追突するような状況ではなかった。
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この事故から学ぶこと
道路交通法が改正され、携帯電話の使用中に道路における交通の危険を生じさせた者に対しては、交通事故に至らなくても違反点数と反則金(違反点数は2点、反則金は普通車の場合9,000円)が科せられることになった。携帯電話の使用中に発生した事故の中には、この事例のように着信時に脇見をして事故を起こす例が最も多い。中には、横断中の歩行者を死亡させる事故等の死亡事故も発生している。携帯電話が普及するに従って、携帯電話を車内に持ち込む人が増えているが、運転中は携帯電話の電源を切るように習慣づけたい。 |
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事故の概要
Aさん(32歳)は、軽自動車を運転していて、交差点を右折しようとしていた。対向車が来ないことを確認して右折したところ、右折した先の横断歩道上に、横断中の歩行者がいることに気がついた。歩行者に気づいたのが直前であったため、停止することができず、歩行者と衝突してしまった。事故が発生したのは、午後7時頃で、辺りは暗くなっていた。また、事故発生当時は強い雨が降っていた。
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事故の原因
Aさんが、右折する先の横断歩道上に十分な注意を払っていなかったことが事故の原因である。事故発生当時、現場は、暗く、雨が降っており、視認性が悪い状況であった。沿道にはコンビニエンスストアがあり、店の照明が路面に乱反射していたと考えられる。 歩行者がいた道路側には植栽があったが、運転者から見て、歩行者が真っ暗な背景にとけ込んでいて発見しにくい状況であったと考えられる。このように、悪条件が重なっていたため、運転者はいつも以上に前方に注意して走行すべき状態であったと考えられる。
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この事故から学ぶこと
雨の日の夜間は、視認性が悪く危険な状況であるといえる。このような場合には、前方の状況にいつも以上に注意を払って走行する必要がある。とくに、歩行者や自転車は発見しにくくなるため、交差点や横断歩道の周辺を通行するときは注意しなければならない。また、雨が激しい場合、歩行者や自転車も周囲の状況への警告がおろそかになるようだ。歩道がない場所を通行するときや、道路を横断するときなどには十分注意したい。 |
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