《検証》
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事故の概要
平日の夕方、Aさんは乗用車で片側1車線の道路を走行していた。市の中心部に向かう反対側の車線は渋滞していたが、Aさんが通行していた下り方向の車線は、順調に流れていた。Aさんが、渋滞している車両の横を通過したとき、道路を横断しようとしていたB君が、車両の間から急に現れた。Aさんは回避措置をとる間もなく、乗用車とB君は衝突した。
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事故の原因
事故があった道路では、歩行者の横断が禁止されていた。近くに歩道橋もあった。このような場所で、渋滞車両の間から横断を試みたB君の判断ミスが事故の原因である。事故が発生した場所は、横断禁止場所であるにもかかわらず、歩行者や自転車の横断が比較的多く、すぐ近くには、学校や学習塾がある。このような場所を通行するときに、歩行者の出現を予測していなかったAさんのほうにも油断があったと言える。
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この事故から学ぶこと
歩道橋や信号機が近くにあっても、早く横断したいと考え、安易な横断を行いがちである。安易な横断は、危険な横断となる場合がほとんどである。危険な横断をしやすい場所と、危険な横断の方法には典型例があるので、危険な場所と危険な例を具体的に示した上で、安全な横断方法を指導したい。子どもが危険な横断を日常的に行っている場所がないかを、時々点検することも重要である。また、平日の夕方は、歩行者の飛び出し事故が多発する時間帯である。自動車を運転する人は、歩行者の急な出現を意識しながら、運転する必要がある。 |
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事故の概要
午後7時ごろ、
乗用車を運転していたAさんは、片側1車線の国道から脇道に右折しようとしていた。対向車があったので、しばらく道路の中央付近で停止していたが、対向車の1台が減速し、進路を譲ってくれた。これを見たAさんが右折を開始したところ、対向車の左側から原付が直進してきた。双方の運転者ともブレーキをかけたが間に合わず、2台は衝突した。原付を運転していたB君は転倒し、腕の骨を折るなどの重傷を負った。
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事故の原因
対向車が進路を譲ってくれたのに安心し、Aさんが安全確認を十分せずに右折を開始したことが事故の原因である。また、速度を落とした乗用車を左側から追い越し、前方の様子を十分注意せずに乗用車の前に出た、B君の判断にも問題があったと言える。
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この事故から学ぶこと
このタイプの場合、右折車と二輪車は、お互いに死角に入っているため、衝突の直前までお互いを認知できない。したがって、次の状況を予測しながら運転することが事故を防ぐ手段となる。この事例は典型的なサンキュー事故であり、教習所などでも教えられているため、知っている人も多いと思う。しかし、実際の運転では、常に予測が働かなければ事故を避けることはできない。急いでいたり、考え事をしていたりすると、わかっていたはずの事故に巻き込まれることになる。危険予測を有効に働かせるためには、平常心で運転することが重要である。 |
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事故の概要
金曜日の夜、Aさんは、片側2車線の道路を走行していたが、道を間違えたことに気づいた。交通量は少なく、転回禁止の場所ではなかったので、Uターンをしようと考えた。Aさんは、後続車があるのは認知していたが、遠くに見えたため、後続車が来る前に転回できると判断し、Uターンを開始した。ところが、後続車は、時速100qくらいの速度を出しており、Aさんが予想したよりはるかに速いスピードで接近してきた。後続車を運転していたBさんは、Uターン中のAさんの乗用車を認め、急ブレーキをかけたが間に合わず、2台は衝突した。
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事故の原因
Bさんがスピードを出しすぎていたことが事故の原因である。この道路の規制速度は時速40qであったから、大幅な速度超過であった。一方、後続車が接近する前にUターンできると判断したAさんの判断にも甘さがあったと言える。なお、Bさんは、四輪車の免許を取得してから2年半が経過していたが、この間、4回の交通違反と1回の人身事故の経験があり、運転免許の停止処分を2回受けていた。
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この事故から学ぶこと
著者が、事故や違反を繰り返す人を調べた結果によると、事故を経験した人の大多数は、事故を起こしたことを後悔し、二度と事故を起こしたくないと真剣に考えている。しかし、事故後の運転行動を調査すると、再び事故や違反を繰り返している人が多い。本人が事故を起こしたことを反省していても、運転行動は簡単に改まらないのが現実である。事故を起こした人に対して罰則を強化するだけでは不十分である。個人指導を行って、運転に関する問題点を個別に修正する再教育プログラムが不可欠である。 |
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事故の概要
休日の朝、
A君は自転車に乗って遊びに行く途中だった。
家を出発してすぐのところに、
片側1車線の県道があり、
目的地に行くには、
この道路を横断する必要があった。
いつも通行している場所であったが、
A君は早く目的地に着きたかったため、
左右を確かめずに道路を横断しようとした。
ちょうどそのとき、
Bさんが運転する乗用車が交差点に接近してきた。
Bさんは、 A君の自転車を認めたが、
交差点の直前であったため、
回避動作を行えなかった。
乗用車と自転車は衝突し、
A君は頭部に重傷を負った。
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事故の原因
A君が、
左右を確かめずに道路を横断しようとしたことが事故の原因である。
一方、
事故があった交差点は小学校の近くにあり、
オーバーハング式の横断歩道の標識が設置されていた。
また、 ミラーが設置されていて、
路地と県道の両方から、
交差車両の有無が確認できるように工夫されていた。
子どもが飛び出す可能性が予測できる交差点であったが、
乗用車を運転していたBさんは、
ぼんやりしていて、
危険を予測した運転をしていなかったと言える。
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この事故から学ぶこと
左右を確認してから道路を横断することは、 子どもにもわかっているはずであるが、 遊びに夢中になったり、 慌てたりしていると、 子どもは安全な行動を忘れてしまうことが多い。 事故の怖さと、 安全な通行の方法を繰り返し教える必要がある。
一方、 子どもが飛び出す可能性がある交差点は、 標識や路面標示による警告があることが多い。 車を運転する人には、 標識や標示に気を配り、 事故を回避する運転を行う責任がある。 |
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事故の概要
平日の夜間、A君は原付を運転し、片側2車線の幹線道路を走行していた。交通量も少なく、A君は時速50q前後の速度で走行していた。A君は信号機のある交差点に接近しつつあったが、この交差点には乗用車が右折待ちのために停車していた。A君は、この乗用車に交差点の直前で気づいた。A君はあわててブレーキをかけたが間に合わず、乗用車に追突した。
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事故の原因
A君が前方をよく見ていなかったことが事故の原因である。速度を出し過ぎていたことも事故の原因になったと言える。A君によると、交通量が少なかったので、少し気が緩んでいたとのことである。
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この事故から学ぶこと
夜間は、昼間に比べて前車までの距離が判断しにくい。二輪車は、四輪車に比べてブレーキが利きにくく、ブレーキ操作も難しい。速度を出し過ぎていると、事故を回避する余地が小さくなる。あっと思ったときには追突していた、とA君は感じたのかもしれないが、A君は、事故が発生する危険に近づきながら、危険を認識していなかったと言える。 「たぶん大丈夫だろう」という「思い込み」や「油断」は大敵である。先の状況を注意深く観察し、速度を出し過ぎない、車間距離を取るなどの、防衛的な運転をすることが重要である。 |
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