交通事故事例 事故は何故起こったか

《検証》

 

信号見落としによる小学生の自転車事故

事故の概要
 午後3時過ぎ、Aさんは軽自動車を運転して出先から事務所に戻る途中であった。片側1車線の道路を進行していたところ、前方に赤信号が見えたため一度減速したが、信号が青に変わったので加速して交差点に接近した。Aさんが交差点に進入したところ、交差する細い道路から自転車に乗った小学生のB君が交差点に進入してきた。Aさんは急ブレーキをかけたが間に合わず、軽自動車と自転車は衝突した。衝突の衝撃により自転車は転倒し、B君は頭部を負傷した。


事故の原因

 B君が赤信号にもかかわらず、道路を横断しようとしたことが事故の原因である。B君は交差点に信号機があることを知っていたが、事故当時は遊びに夢中になっていて、信号のことが頭になかったらしい。B君の家は事故発生場所から100mも離れていないところにあり、B君は毎日、この場所を通行していたという。


この事故から学ぶこと

 子どもは遊びに夢中になると、他のことに注意が回らなくなる。遊びながら、あるいは、ふざけながら道路を通行していると、本人は全く意識しないうちに危険な行為をしていることがある。道路で遊ばないように、また、道路を通行するときに、遊んだり、ふざけたりしないように指導することは大変重要である。

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大型車の直前直後の横断は危険

事故の概要
 朝8時ごろ、小学2年生のA君は学校に行くために家を出発し、細い路地を抜けて往復2車線道路に出た。学校に行くためにはこの道路を横断する必要があった。A君がこの道路に出てきたとき、手前の車線は、信号待ちのための車が行列を作って止まっていた。A君は信号が変わって車列が動き出す前に横断しようと考え、大型バスの後ろから横断を開始した。ちょうどそのとき、反対側の車線をBさんが運転する乗用車が走ってきた。Bさんは、バスの後方からA君が飛び出してくるのを認めて、ブレーキを踏んだが間に合わず事故になった。この事故により、A君は全治3ヶ月の重傷を負った。


事故の原因

 A君が反対側の車線の様子をよく確かめずに、バスの後方から道路を横断しようとしたことが事故の原因である。事故が起こった場所から左右に50m離れた地点には、信号機と横断歩道があった。A君は、最も危険な場所とタイミングを選んで横断を開始したわけである。また、Bさんが危険を予測した運転を十分に行っていなかったことも事故の原因である。事故の直前、Bさんは荷物の積み下ろしをするために、停車する場所を探して左前方を見ていたという。大型バスの後方から歩行者が横断を試みることを予測して運転していれば、事故は避けられた可能性もある。


この事故から学ぶこと

 大型車の直前直後の横断は危険であることは以前から知られているのだが、いまだに、このような事故は発生している。歩行者と運転者の双方は直前直後の横断の危険性を再認識する必要がある。また、この事故は通学途上に発生した事故である。学校や家庭において、安全教育を行うことが重要である。

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単独事故で同乗者が死亡

事故の概要
 会社員のAさんは、会社の同僚と飲食店で酒を飲んだ後、自分の車を運転して、別の店に行こうとしていた。規制速度が時速40qの道路を、Aさんは時速約100qで走行していた。緩やかな右カーブに差しかかったとき、このままの速度ではカーブを曲がりきれないと感じ、Aさんは慌ててブレーキを踏んだ。すると、車は横滑りをはじめた。Aさんは、車を立て直そうとしたが、乗用車はそのまま横滑りを続け、駐車車両に衝突した。この事故により、助手席に乗っていたBさんが死亡し、Aさんも重傷を負った。


事故の原因

 Aさんが、速度を出し過ぎていたことが事故の直接の原因である。規制速度を大幅に超過する速度を出していたのは、酒を飲んで、気が大きくなったせいもあるらしい。また、飲酒の影響により、判断と操作が遅れた可能性も大である。さらに、2人ともシートベルトを着用していなかった。


この事故から学ぶこと

 この事故では、速度超過、飲酒運転、シートベルト非着用と、死亡事故が発生する条件が重なっている。これらの行為の危険性を、改めて説明する必要はないだろう。この事故のように、単独事故で同乗者が死亡した場合、運転者であるAさんが加害者になり、助手席のBさんは被害者になる。Aさんは、自分の責任で、会社の同僚を死なせてしまったわけである。飲酒運転で単独事故を起こした場合、自分や同乗者の損害は、自動車保険からは支払われない。Aさんにとっては、悔やんでも、悔やみきれない事故であろう。

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突然の進路変更による事故

事故の概要
 片側2車線の道路を走行していたAさんは、この先の交差点を右折しようとして、右側の車線に入り減速しつつあった。交差点の直前まで接近したところ、目的地までの道順を間違えていることに気づいた。Aさんは、右折を中止し、左側の車線に移ろうと、ハンドルを左にきった。Aさんの後方には、Bさんが運転する自動二輪車が走行していた。Bさんは、Aさんの乗用車が右ウインカーを出し、減速するのを見て、左側に車線を変更し、乗用車の左側を通過しようとした。Aさんが急に進路を変更したので、Bさんは、乗用車を避けることができず、2台は衝突した。


事故の原因

 Aさんが、急に進路を変更したことが事故の原因である。Aさんは、二輪車が自分の後方を走行していることを知っていたが、道順の間違いに気づいたときは、慌ててしまい、二輪車の存在を忘れてしまったという。


この事故から学ぶこと

 出発前に、目的地までの道順をしっかり計画しておくことは重要である。経路を心配しながら運転すると、運転に集中できないので危険である。道順の誤りに気づくと、慌ててしまい、周囲の状況に対する注意がおろそかになり、安全確認が不十分になることも多い。道順の間違いに気づいたときは、そのまま進行し、遠回りをしてでも、安全な方法で本来の経路に復帰すべきである。本来の経路に復帰しようとして、無理な進路変更を行うのは危険である。

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渋滞末尾の追突事故

事故の概要
 夜10時過ぎ、Aさんは片側2車線の国道を走行していた。この道路は、交差点が立体化されていて走りやすい道路であった。夜間になり交通量も少なかったので、Aさんは時速約70q (規制速度は時速50q)で走行していた。緩やかな右カーブを抜けたところ、渋滞のため先行車が停車しているのを発見した。Aさんがあわてて急ブレーキを踏むと、乗用車は横滑りをはじめた。乗用車は中央分離帯に衝突した後、渋滞末尾のトラックに接触して停車した。その直後、Aさんの後方から、Bさんが運転するトレーラーが時速約80qで走行してきた。Bさんは、前方で事故が発生しているのを認めて回避措置をとったが間に合わなかった。トレーラーはAさんの乗用車の後部に激しく衝突し、Aさんの乗用車は大破した。


事故の原因

 AさんとBさんが、制限速度を超過して走行していたことと、前方の様子を十分に注意して運転していなかったことが事故の原因である。事故発生場所は、緩やかな右カーブの出口付近であり、前方の様子を確かめにくい場所であった。渋滞の末尾は陸橋の頂上付近にあり、見通しが悪かった。事故が発生したのは夜間であり、先行車が停車しているか、走行しているかの判断は難しかったと考えられる。事故当時は、このような悪条件が重なっていたわけで、このような状況下では、前方の様子を十分に注意して、制限速度内で走行すべきであったが、2人とも状況判断が甘かったと言える。


この事故から学ぶこと

 交通が閑散で走りやすい道路では、制限速度を超えて走っても安全であると思い込みやすいが、見通しが悪い区間に入ったり、渋滞などの思いがけない事態が発生すると、高い速度では対処できない。また、速度を出し過ぎていると衝突時の衝撃が大きくなり、被害が大きくなりやすい。安易に速度を出さず、制限速度を守って走行すべきである。

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