一般財団法人日本交通安全教育普及協会

アクセル・ブレーキの踏み間違いによる事故

事故の概要

平日の朝、Aさん(35歳)は、営業に出かけるため、会社の駐車場から表通りに出ようとしていた。駐車場の出口に近づいたところ、駐車場に入って来る同僚の車があったため、Aさんはアクセルペダルを放し、オートマチック車のクリープ現象を利用して車を低速で前進させた。その時、右方向から接近してくるBさん(63歳)の自転車が急にAさんの目に入った。Aさんは慌ててブレーキを踏んだつもりだったが、間違ってアクセルペダルを踏み込んでしまった。Aさんの車は急発進し、Bさんの自転車と衝突した後、道路の向かい側の金属製のフェンスを倒して停止した。この事故によりBさんは死亡した。

事故の原因

Aさんが、ブレーキペダルと間違えてアクセルペダルを踏み込んだのがこの事故の原因である。

この事故から学ぶこと

1986年頃、オートマチック車が低速走行中に急加速する事故が米国と日本で問題になった。当初は車の欠陥が疑われ、欠陥車を製造したと疑われたドイツのアウディ社は、売り上げを大幅に落として業績不振に陥った。しかし、その後に行われた大規模な調査により、これらの事故のほとんどがアクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いが原因で発生したことが明らかになった。オートマチック車は運転しやすい車として近年では乗用車の大部分を占めるようになっている。しかし、便利な一方で、このような人為ミスがときどき発生することをオートマチック車に乗る人は忘れてはならない。

No.383 1998年 3月号

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